広告の内製化を検討するとき、最初に詰まるのが「結局いくらかかるのか」です。運用代行に払っていた手数料は消えますが、代わりに人件費とツール費が固定で乗ります。ここを試算せずに始めると、「内製化したのに前より高くなった」が起こります。

この記事では、広告内製化コストを人件費・ツール費・制作費の3つに分解し、運用代行との比較、広告費がいくらから内製が得になるかの損益分岐点まで、具体的な数字で整理します。自社が今、内製化すべきかを判断する材料にしてください。

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この記事でわかること

  • 広告内製化コストの内訳(人件費・ツール費・制作費)
  • 運用代行と内製化のコスト構造の違い
  • 広告費いくらから内製が得になるかの損益分岐点と早見表
  • 見落としやすい隠れコストと、回収を早める下げ方
  • 内製化のコストを抑える3つの打ち手
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広告内製化コストは「3つの費用」に分解できる

広告の内製化コストを人件費・ツール費・制作費の3つに分解した概念図

広告内製化コストは、「なんとなく安くなりそう」で考えると外します。中身は3つに分かれます。運用の人件費、ツールの利用料、そして意外と残るクリエイティブの制作費です。この3つを並べると、代行との比較も損益分岐の計算もできます。

1. 人件費|内製化コストの主役

広告運用担当1人の月額人件費が社会保険料込みで月55万円前後になる内訳図

広告運用を担う人の給与が、内製化コストの中心です。求人ボックスの給料ナビによると、マーケティング職の平均年収は515万円、月給に直すと約43万円です(2026年9月時点)。社会保険料などの会社負担を含めると、専任1人で月55万円前後を見ておくと安全です。兼任で回すなら、その人の稼働割合で按分します。

2. ツール費|運用・分析・制作の3種類

内製化で必要な運用・分析・制作の3種類のツールを並べた構造図

必要なツールは大きく3種類です。広告管理・入札の運用ツール、実績を読む分析ツール、そしてバナーを作る制作・生成ツール。無料で始められるものもありますが、実務では月数千円〜数万円を見込みます。ここは代行では手数料に含まれていた部分で、内製化すると自社の費目に移ります。

3. クリエイティブ制作費|消えたつもりで残るコスト

バナー制作費が1枚3,000〜30,000円かかり内製化後も残ることを示す図

見落としやすいのがここです。運用を内製化しても、バナーを作る人がいなければ外注に戻ります。制作会社への外注は1枚あたり3,000〜30,000円、配信面ごとのサイズ展開でさらに+2,000〜5,000円かかります(Tasky調べ)。検証のために毎月30枚回すと、この制作費だけで人件費に迫ります。内製化の損益は、実はここで決まります。

運用代行と内製化のコスト構造の違い

運用代行は広告費に比例し内製化は固定費というコスト構造の違いを対比した図

代行と内製では、お金のかかり方の「形」が違います。代行は広告費に連動し、内製は固定でかかります。ここを押さえると、どちらが得かは広告費の規模で変わると分かります。

項目運用代行内製化
主なコスト広告費 × 手数料15〜20%人件費+ツール費(固定)
下限最低手数料 月5万円前後担当者の人件費
広告費が増えたら手数料も比例して増える変わらない
制作費手数料 or 別料金自社で負担(外注 or 内製)
ナレッジ代理店側に貯まる自社に貯まる

運用代行の手数料は、広告費の15〜20%が相場で、20%を標準とする代理店が多いです(ローカルマーケティングパートナーズ)。ただし少額の場合は最低手数料が効きます。月5万円前後を下限に置く代理店が多く、月20万円の広告費でも下限を取られると、実質の料率は25%まで上がります。

一方、内製は広告費が増えても人件費・ツール費は変わりません。だから広告費が大きいほど、代行の手数料と固定費の差が開き、内製が有利になります。逆に広告費が小さいと、固定の人件費が重く、代行のほうが安く済みます。広告費の全体像から逆算する考え方は 広告予算の決め方 も参考にしてください。

損益分岐点の計算式|広告費いくらから内製が得か

代行手数料と内製固定費の2本の線が交わる損益分岐点を示すグラフ

どちらが得かは、次の式で分岐点が出ます。

`` 内製が得になる広告費ライン = 内製の月固定費 ÷ 手数料率 ``

例で計算します。専任担当の人件費が月40万円、ツール費が月5万円なら、内製の固定費は合計45万円です。これを手数料20%で割ると、分岐点は225万円。つまり月の広告費がこのラインを超えると、代行に払う手数料が内製の固定費を上回り、内製が得になります。

損益分岐点の早見表

内製固定費別の損益分岐点を3行で示した早見表

自社の数字に近い行を見てください。

内製の月固定費手数料15%なら手数料20%なら
20万円(兼任+ツール)月133万円〜月100万円〜
45万円(専任1人+ツール)月300万円〜月225万円〜
60万円(専任+分析ツール)月400万円〜月300万円〜

「〜」は、その広告費を超えたら内製が得になるラインです。ただしこれは制作費を別に置いた、運用だけの単純計算です。制作費を内製の固定費に足すと、分岐点はさらに上がります。次の隠れコストで見ていきます。

### 制作費が損益分岐を左右する

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内製化の損益は、運用よりも制作の負担で決まります。月30枚のバナーを外注に戻すと、制作費だけで9万〜90万円。Tasky ならURLを入れるだけで、サイズ展開まで含めて量産できます。無料で7日間試す

内製化で見落としやすい隠れコスト

採用・立ち上げ・制作費が水面下に隠れる内製化の隠れコストを氷山で表した図

試算が狂う原因は、たいてい表に出ないコストです。大きいものが2つあります。

立ち上げと採用のコスト

内製化着手企業の67%が外部サポートを併用していることを示すデータ図

運用担当がいなければ、採用が要ります。この年収クラスの人材はすぐには採れず、教育期間中は成果が出ないまま人件費だけが出ていきます。この採用と立ち上げの難しさは、データにも表れています。株式会社オプトが2025年に経営者416名へ行った調査では、内製化に着手した企業の67%が外部のサポート会社を併用していました。全部を自社だけで抱える前提は、コストを押し上げます。

制作費が損益分岐を押し上げる

制作費を固定費に足すと損益分岐点が押し上げられる様子を示した概念図

もう一つが、さきほどの制作費です。運用を内製化しても、制作を外注に戻せば、その制作費がまるごと固定費に上乗せされます。毎月の外注が月30万円規模になると、これを内製固定費に足すぶん、先ほどの分岐点が一気に跳ね上がります。「運用は内製、制作は外注」のままだと、内製化で狙ったコストメリットは小さくなります。内製化の全体像は 広告インハウス化とは にまとめています。

内製化のコストを抑える3つの打ち手

内製化コストを抑える3つの打ち手を並べた概念図

内製化を「安くする」ではなく「損益分岐点を下げる」で考えると、打ち手は3つに絞れます。

1. 全部を抱えず、ミドルインハウスにする

戦略は自社・実行は外部と分担するミドルインハウスの役割分担図

戦略と意思決定は自社で握り、専門性の要る実行だけ外部と分担する形です。オプトの調査でも多くがサポートを併用していたのは、これが現実解だからです。いきなり完全内製を目指さず、削れるコストから内製に移すほうが、失敗の穴は小さくなります。段階的な進め方は SNS広告の内製化ガイド が参考になります。

2. 制作は生成AIに寄せ、人は設計と判断に回す

制作を生成AIに寄せ人は設計と判断に集中する分業を示した概念図

内製固定費でいちばん重いのが制作費です。ここを生成AIに寄せると、分岐点が大きく下がります。Tasky はURLを入れるだけで、商材分析から訴求設計、バナー生成までを自動で行います。制作単価は約54円〜/枚、Personalプラン(月額9,800円)で月180枚が目安です。マジックリサイズで、1枚から各配信面のサイズへレイアウトごと自動展開できます。人は「誰に・何を訴求するか」の設計と判断に集中できます。

3. 検証回数を増やして、広告費側のROIを改善する

検証回数が月3〜5から月30〜50に増えROIが改善する様子を示した図

内製化の本当の狙いは、手数料を削ることだけではありません。代理店の確認を挟まず、その日のうちに検証を回せる速さです。制作コストが下がると、月3〜5パターンだった検証が月30〜50パターンに増えます。勝ちパターンが早く見つかれば、広告費そのものの効率(CPA)が上がり、手数料の削減より大きな効果になります。

実際に内製化で数字を動かした例があります。ベルフェイスはTaskyで内製化し、CPAが外注比1/3に改善。ロックストックは同じ時間で作れるバナーが5本から20本に増え、工数を75%削減しました。overflowは外注費をゼロにし、施策を思いついてから実行するまでのタイムラグを解消しています(いずれもTasky公式の導入事例)。ほかの事例は 広告の内製化事例3選 で紹介しています。

よくある質問

Q1. 広告内製化コストはどれくらいかかりますか?

中心は運用担当の人件費とツール費です。専任1人なら人件費で月40〜55万円、ツール費で月数千〜数万円が目安になります。ここに、制作を外注に戻す場合の制作費が加わります。運用代行の手数料は不要になります。

Q2. 広告費がいくらから内製化したほうが得ですか?

「内製の月固定費 ÷ 手数料率」で分岐点が出ます。人件費とツールで月45万円、標準的な手数料率なら、月の広告費が225万円を超えたあたりが目安です。これより広告費が小さいと、代行のほうが安く済むことが多いです。

Q3. 内製化すると本当にコストは下がりますか?

広告費が分岐点を超えていれば下がります。ただし制作を外注に戻すと制作費が乗り、下がり幅は小さくなります。制作を生成AIなどで内製に取り込めるかどうかが、コストが下がるかの分かれ目です。

Q4. 少額予算でも内製化する意味はありますか?

純粋なコスト計算では、少額なら代行のほうが安いことが多いです。それでも、検証を自社の速さで回せる、ナレッジが自社に貯まる、という価値は残ります。まずは制作だけ内製に寄せる、といった一部内製から始めるのが現実的です。

まとめ

  • 広告内製化コストは、人件費・ツール費・制作費の3つに分解すると試算できます。
  • 代行は広告費に比例、内製は固定。「内製の固定費 ÷ 手数料率」で損益分岐点が出ます。
  • 分岐点を左右するのは制作費です。外注に戻すと固定費が膨らみ、分岐点が上がります。
  • コストを下げる近道は、制作を生成AIに寄せて、人は設計と判断に回すことです。
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