債務整理や過払い金の広告は、他の業界と決定的に違う前提があります。広告を出す前に「何を書いてはいけないか」を外すことが、デザインより先に来るという点です。借金の悩みを扱う領域は、弁護士・司法書士の自主規制のルールと、景品表示法、さらにGoogleやMetaの媒体ポリシーが何重にもかかっています。ここを外すと審査で落ちるだけでなく、懲戒や行政指導につながることもあります。
しかも2026年には日弁連が業務広告の指針を改正し、「借金減額診断」や「着手金〇万円〜」といった、これまで当たり前に使われてきた表現まで規制の対象に入りました。この記事では、債務整理・過払い金の広告で載せられないNG表現と、その上であおらずに相談を集める訴求のパターン、媒体別のサイズ設計までを、掲載前に確認する順番でまとめます。
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この記事でわかること
- 債務整理の広告が「あおらず、信頼で相談につなげる」ことを役割にする理由
- 広告の主体が「弁護士」か「認定司法書士」かで扱える範囲が違うこと(140万円の壁)
- 弁護士・司法書士の業務広告規程と、2026年改正で新たに規制された表現
- 債務整理の広告で載せられないNG表現(「国が認めた」「必ず減る」「今すぐ請求しないと失われます」)
- あおらずに相談を集める訴求5型(相談無料・実績・秘密厳守・手続き整理・督促ストップ)
- 検索・ディスプレイ・SNSの役割分担と媒体別サイズ、Taskyで量産する方法
債務整理広告は「あおらず、信頼で相談につなげる」ことが役割

債務整理広告の成否は、デザインの前に「規制を外したうえで、いかに信頼できる相談先だと伝えるか」で決まります。相談者は借金という不安を抱えた状態で広告に触れます。だから過度に不安をあおる見せ方は、規制の対象になるだけでなく、相談者にも警戒されます。役割は「大きく減額できる」と煽ることではなく、「安心して相談できる」と伝えることに寄ります。
高い競争と高いCPCの市場 — 誇張ではなく信頼で差がつく

債務整理や過払い金は、法律事務所・司法書士事務所が集客のために広告を出し続けてきた領域で、検索広告の入札単価も高くなりがちです。競争が激しいと、つい「他より大きく減る」と誇張したくなりますが、その方向はNG表現に直行します。同じ金融の広告でも、クレジットカードや投資商品とはルールの土台が違うため、金融・クレジットカードのバナー広告や投資・金融商品のバナー広告とは分けて考える必要があります。
広告の主体は誰か —「弁護士」と「認定司法書士」で扱える範囲が違う

債務整理広告で最初に確認すべきは、広告の出し手が誰かという点です。債務整理は法律事務にあたるため、報酬を得て扱えるのは弁護士と司法書士に限られます。さらに司法書士の場合、代理できる範囲に上限があります。
最高裁は、個別の債権額が140万円を超える債務整理について、認定司法書士は代理できないと判断しました(日本経済新聞)。140万円を超える案件を司法書士が扱うと、弁護士法違反(非弁行為)として刑事処罰の対象になります。広告では、自分が弁護士事務所なのか司法書士事務所なのかを偽らず、扱える範囲を超える案件をあたかも全て解決できるかのように見せないことが前提になります。
相談者の3つの検討段階

相談者の検討段階は、大きく3つに分けられます。段階ごとに響く言葉が変わります。
- 情報収集層: 借金は気になるが、まだ相談に踏み出せていない。「相談は無料」「匿名でOK」など、知ることのハードルを下げる段階です
- 比較検討層: 複数の事務所を比べている。解決実績や費用の透明性、対応の丁寧さを、根拠のある形で見せます
- 相談直前層: 相談するか迷っている。「LINEで質問だけOK」「24時間受付」など、行動のハードルを一段下げる一言が効きます
同じサービスでも、この3段階に合わせて訴求を出し分けると、無駄打ちが減ります。
債務整理広告は「弁護士等の業務広告規程」が土台

商品広告と違い、債務整理広告には、景品表示法に加えて、弁護士・司法書士それぞれの業務広告に関する自主規制があります。これを土台に置かずに表現だけを工夫すると、審査落ちや懲戒のリスクが残ります。
弁護士・司法書士の業務広告には自主規制のルールがある

弁護士の広告は、日弁連の「弁護士等の業務広告に関する規程」が土台になります。その第3条は「誇大又は過度な期待を抱かせる広告」を禁止しています(第二東京弁護士会)。司法書士にも同様の業務広告に関する指針があり、いずれも「大きく減額できる」と過度な期待を抱かせる方向を戒めています。これらに反する広告をした場合、懲戒処分につながることがあります。
2026年の指針改正で新たに規制された表現

2026年2月19日付で、日弁連は業務広告の指針を改正しました(4月1日適用)。改正では、減額を期待させる「借金減額診断」を誤認の恐れのある広告に追加したほか、「着手金〇万円〜」のような弁護士報酬の曖昧な表現も、実際には表示を著しく超える金額を受け取っているのに使う場合は誤導広告にあたるとしました。さらに「時効が成立していても返金される」など誤解を招く表現も控えるよう求めています(共同通信)。これまで広く使われてきた表現が対象に入ったため、既存のバナーも作り直しが必要になります。
債務整理広告でNGになる表現(業務広告規程・景表法・媒体ポリシー)

ここが、債務整理広告でつまずきやすい中心です。相談を増やそうとして減額を強く見せると、複数のルールに同時に触れます。掲載前に必ず外したい表現を挙げます。
「国が認めた借金減額制度」— 特別な制度があるかのような誤認はNG

もっとも問題視されているのが、「国が認めた借金減額救済措置」「国が認めた借金救済制度」のような表現です。第二東京弁護士会は、こうした表現を、あたかも破産手続や個人再生手続とは別に、専門家しか知らない特別な法律上の制度があり、簡単に借金を減らせるかのような期待を抱かせるものとして問題視しています。実際には、そのような特別に有利な制度が存在するわけではありません(第二東京弁護士会)。「国が認めた」という言葉で公的なお墨付きを匂わせる見せ方は避けます。
「必ず減る」「0円になる」「借金減額診断」— 根拠なき減額の示唆はNG

「借金が必ず減る」「返済がゼロになる」のように、結果を断定する表現は、業務広告規程3条の「誇大又は過度な期待を抱かせる広告」に該当します。減額できるかどうかは、借入先・残高・収入によって一人ひとり違うため、断定はできません。
前述のとおり、2026年の指針改正では、根拠を示さないまま減額を示唆する「借金減額診断」自体が誤認の恐れのある広告に追加されました(共同通信)。数字を入れて「最大〇〇%減額」と見せる場合も、それが特定の条件下の例にすぎないなら、断定的に受け取られない配慮が必要です。減額の話は、事実として言える範囲にとどめます。
「今すぐ請求しないと過払い金が失われます」— 不安をあおる表現はNG

過払い金には確かに時効があります。原則として、完済(最終取引)から10年が経過すると請求できなくなり、2020年4月の改正民法では権利を知ってから5年という時効も加わりました(デイライト法律事務所)。ただし、この事実を使って「今すぐ請求しないとあなたの過払い金は失われます」と急かす見せ方は、困惑させ、過度な不安をあおる広告として、業務広告規程に反する例とされています。時効という事実は正確に伝えつつ、「まずは無料で確認できます」のように、不安ではなく確認の入口として見せます。
Google・Metaの媒体審査 — 債務関連サービスは「認定」が必要

自主規制を外しても、媒体の審査という関門があります。Googleでは、債務整理・債務管理サービスの広告は、認定を受けた場合にのみ掲載が許可されます。認定は対象国でのみ取得でき、広告の掲載先となる国の規制機関または関連団体による登録・認可・承認が求められます(Google 広告ポリシー)。事務所として認定の要件を満たしているかを、クリエイティブを作る前に確認しておくと、審査落ちのやり直しを減らせます。
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「国が認めた」「必ず減額」などの表現をどう言い換えるか、過払い金の時効をどう見せるかなど、審査で迷う点は個別にご相談を承っています。債務整理のような規制の強い領域の広告づくりは お問い合わせ から。
「あおらずに」相談が集まる債務整理広告の訴求5パターン

NGを外したうえで、事実の範囲で相談につなげる訴求を整理します。債務整理で反応が出やすいのは、次の5型です。1枚のバナーに全部を詰めず、相談者の検討段階に合わせて1〜2軸に絞るのがコツです。
パターン1: 相談無料・匿名OK型

情報収集層に最も効くのが、知ることのハードルを下げる訴求です。「相談無料」「匿名で相談OK」「何度でも無料」のように、まず話を聞ける状態を伝えます。借金の相談は心理的な負担が大きいので、金額の話より先に「気軽に聞ける」ことを見せると、最初の一歩につながりやすくなります。
パターン2: 解決実績・専門特化型

比較検討層には、根拠のある実績が効きます。「債務整理の相談〇〇件」「過払い金の対応実績」など、事実の数字で専門性を見せます。ここで注意したいのは、実績はあくまで事実の範囲で、「必ず解決」といった結果の断定にしないことです。数字を出すなら、その根拠を説明できる状態にしておきます。
パターン3: 秘密厳守・安心型

債務整理をためらう理由の上位に、家族や職場に知られたくないという不安があります。「秘密厳守」「家族に知られず手続き可能」「郵便物への配慮」など、プライバシーへの配慮を伝える訴求です。相談直前層の背中を押す一言として効きます。ここでも、実際に配慮できる体制があることが前提です。
パターン4: 手続きの選択肢を整理する型

債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産・過払い金請求といった選択肢があり、相談者はその違いを理解できていないことが多い領域です。「あなたに合う方法を一緒に選びます」のように、選択肢を整理して提案する姿勢を見せる訴求です。減額を煽らず、「まず状況を整理する」という入口は、規制とも相性がよく、信頼にもつながります。
パターン5: 督促ストップ・スピード型

弁護士や司法書士が受任し、貸金業者に受任通知を送ると、督促が止まります。これは制度上の事実なので、「ご依頼後は督促の連絡が止まります」のように、事実として伝えられます。ただし「今すぐ」「手遅れになる前に」のように不安をあおる方向に振ると前述のNGに近づくため、あくまで手続きの流れとして淡々と見せます。督促に悩む相談直前層に届きます。
媒体別の配信設計 — 検索・ディスプレイ・SNSの役割分担

同じ債務整理広告でも、出す面によって役割とサイズが変わります。相談者の検討段階に合わせて、面を使い分けます。
検索連動 —「債務整理 相談」の顕在層を取る

「債務整理 相談」「過払い金 いくら」で探している層は、すでに悩みを言語化している顕在層です。ここは検索連動広告が中心になります。テキスト主体ですが、広告文でも業務広告規程は同じく適用されるため、「必ず減る」「国が認めた」はテキストでも使えません。リンク先のランディングページの表現も、バナーや広告文とそろえておきます。
ディスプレイ(GDN)— 認定を取ったうえで比較検討層に

Googleディスプレイ(GDN)は、認定を取得したうえで、比較検討層に事務所を思い出してもらう役割です。GDNで配信量が多い定番サイズは、レクタングルの300×250、ビッグバナーの728×90、モバイルバナーの320×50の3つです(Google広告ヘルプ)。相談無料・秘密厳守といった安心の訴求を、一目で読める大きさで置きます。バナーデザインの基本は バナーデザインのコツ を参照してください。
SNS(Instagram・LINE)— 潜在層にそっと届ける

借金は気になるがまだ動いていない潜在層には、SNS配信が向きます。Instagram/Facebookの推奨サイズは、正方形の1080×1080と縦型の1080×1350が基本です(Meta)。この面ではとくに、不安をあおるビジュアルや過度な減額訴求は嫌われやすく、審査でも止まりやすいので、落ち着いたトーンで「無料で相談できる」ことを伝えます。LINEは相談の受け皿としても使え、「LINEで質問だけOK」の導線と相性がよい面です。
「訴求×媒体×サイズ」で勝ち筋を検証する制作フロー

ここまでの要素をまとめると、債務整理広告の制作は次の順番で進めると迷いません。
- 広告主体と扱える範囲を確認する: 弁護士か認定司法書士か、140万円超の案件を扱えるかを整理し、広告での見せ方の前提を固める
- 訴求を1〜2軸に絞る: 5型から相談者の検討段階に合う軸を選ぶ(例: 情報収集層×相談無料+秘密厳守)
- NGチェック: 「国が認めた」「必ず減る」「借金減額診断」「今すぐ請求しないと失われます」「着手金〇万円〜」が入っていないか、業務広告規程と2026年改正の観点で確認
- 媒体とサイズを決める: 検索・GDN(300×250・728×90・320×50)・SNS(1080×1080・1080×1350)から、面を先に決めてサイズを用意
- 複数パターンを作って配信で比べる: 相談無料推し/実績推し/秘密厳守推しを同時に出し、反応の良い訴求に寄せる
この5つ目、「複数パターンを作って比べる」が実務では一番効きます。ただ、手作業だと訴求3案×媒体3面×サイズ数だけで数十枚になり、しかも1枚ごとにNGチェックが必要なため、現実には数パターンで止まりがちです。ここが自動化の効きどころになります。
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よくある質問
Q. 債務整理広告で「国が認めた借金減額制度」と書いてもよいですか?
書けません。破産手続や個人再生手続とは別に、専門家しか知らない特別な減額制度があるかのような誤認を招く表現として問題視されています。実際にそのような特別に有利な制度が存在するわけではなく、弁護士等の業務広告に関する規程3条の「誇大又は過度な期待を抱かせる広告」に該当し得ます。「無料で減額できるか確認できます」のように、結果を断定せず確認の入口として見せます。
Q. 「借金減額診断」や「着手金〇万円〜」は広告に使えますか?
2026年2月の日弁連の指針改正で、根拠を示さないまま減額を示唆する「借金減額診断」は誤認の恐れのある広告に追加されました。また「着手金〇万円〜」も、実際には表示を著しく超える金額を受け取っているのに使う場合は誤導広告にあたるとされています(2026年4月適用)。費用は、条件によって変わる場合も含めて、相談者が誤解しない形で示すことが求められます。
Q. 過払い金の広告で「今すぐ請求しないと失われます」と急かしてもよいですか?
避けます。過払い金には原則として完済(最終取引)から10年などの時効があるのは事実ですが、それを使って過度に不安をあおり急かす表現は、困惑させる広告として業務広告規程に反する例とされています。時効という事実は正確に伝えたうえで、「まずは無料で時効の状況を確認できます」のように、不安ではなく確認の導線として見せます。
Q. 債務整理広告はどの媒体・サイズで作ればよいですか?
相談者の検討段階で決めます。「債務整理 相談」で探す顕在層には検索連動、比較検討層にはGDN(300×250・728×90・320×50)、まだ動いていない潜在層にはSNS(Meta 1080×1080・1080×1350)やLINEが向きます。なおGoogleでは債務関連サービスの広告は認定を受けた場合のみ掲載できるため、配信の前に認定要件を満たしているかを確認します。
まとめ
債務整理・過払い金の広告は、規制を外したうえで「あおらず、信頼で相談につなげる」ことが役割です。掲載前に押さえるポイントを整理します。
- 広告主体を確認する: 弁護士か認定司法書士か。認定司法書士は個別債権額140万円以下のみ代理でき、超える案件を扱うと弁護士法違反になる
- 土台は業務広告規程: 弁護士等の業務広告に関する規程3条が「誇大又は過度な期待を抱かせる広告」を禁止。2026年改正で借金減額診断・着手金表現・時効の見せ方も規制
- NG表現を外す: 「国が認めた」「必ず減る/0円」「今すぐ請求しないと失われます」は避ける。Googleは債務関連サービスの認定が必要
- 訴求は5型から1〜2軸に絞る: 相談無料・実績・秘密厳守・手続き整理・督促ストップ。減額の断定ではなく事実で
- 媒体で役割分担: 検索で顕在層を取り、GDNで比較検討層に、SNS・LINEで潜在層にそっと届ける
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